2024.06.14
医療コラム
消化器内科では良性・悪性いずれの疾患に関しても数多くある診療ガイドラインに沿って診療を行っています。
典型的な症例はガイドラインに則って治療を進めて行きますが、患者さまそれぞれに個人差があり、年齢、体力、基礎疾患、人生観、生活状況などを考慮して治療方針を決めなければならない場面が数多くあり、消化器内科の中では週に1回症例検討のカンファレンスを、それ以外には外科の先生方と合同で肝胆膵疾患のカンファレンス、消化管疾患のカンファレンス(主に内視鏡画像を内科医・外科医の両方の目でみて治療方針を検討する内視鏡カンファレンス)をそれぞれ週に1回行っています。
消化器内科単独の症例検討カンファレンスの中では、抗がん剤による治療を行う場合は原則すべての患者さまについて、抗がん剤治療の適応があるかどうか、また、使用する抗がん剤の種類および投与量を検討しています。
2022年3月までは大腸ポリープに対する内視鏡治療は全症例で入院の上で治療を行っていましたが、2022年4月よりポリープのサイズが1㎝以下で抗血栓薬を内服していない患者さま、また全身状態に大きな問題のない患者さま(原則80歳以下)に対しては、入院ではなく外来(日帰り)で内視鏡による大腸ポリープ切除を行っていますので、入院・日帰りのいずれかを選んでいただくことができます。
これは患者さまの利便性を考慮して運用を変更しましたが、患者さまのご要望に応じて柔軟に対応いたします
早期の消化管腫瘍(食道癌、胃癌、大腸癌)に対しては、近年ESDが普及し、当院でも積極的に治療に取り組んでおり、胃癌のみではなく食道、大腸の腫瘍に対するESDにも2022年度より対応可能となっています。(表1 年度別件数)
早期癌に対する最適な治療法を決定するため、前医での内視鏡で診断された症例に対しても再度当院で内視鏡による評価として拡大観察、範囲診断、深達度診断を行い、先に述べたカンファレンスで治療方針を決定します。
今後の診断の精度を向上するため、治療後もカンファレンスで振り返りを行っています。
大腸内視鏡検査を受けるための前処置薬の処方、その飲み方の説明のため、検査のために一度病院の外来を受診していただく必要のある施設が多いと思いますが、当院では80歳以下の患者さまであれば、外来受診なしに地域医療センターを通して大腸内視鏡検査の予約を直接取ることができます。
大腸内視鏡検査の流れ
検査当日の朝
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当院の初回受診です。 絶食で来院していただきます。 |
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診察後
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院内で前処置薬を内服していただきます。 |
検査当日の午後 | 大腸内視鏡検査を受けていただきます。 |
上部消化管内視鏡検査も地域医療センターを通して検査を直接予約できますし、大腸内視鏡検査とあわせて、検診で要精査の判定になった方がいらっしゃいましたら、ご活用ください。
2023年度 内視鏡検査 / 手術の件数
上部消化管内視鏡 | 5,692 件 | |
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大腸内視鏡 | 1,327 件 | |
大腸ポリープ切除 | 568 件 | |
ERCP(内視鏡的逆行性胆膵管造影)関連手技 | 213 件 | |
内視鏡的胃瘻造設 | 32件 | |
消化管出血に対する止血術 | 107件 | |
緊急内視鏡 | 435 件 |
上部消化管内視鏡を始めとして、ESD以外の検査・治療についても積極的に行っています。
また、消化管出血の疑い、異物除去、腸閉塞に対する減圧目的の内視鏡治療(ステント・イレウス管)、腹痛の原因精査などの緊急内視鏡にも対応しています。
8名のスタッフで外来診療、予定の検査に加えて、内科全体での救急対応当番もあるため、救急対応が難しい場合もありますが、できる限り地域の皆様のお力になれますよう、スタッフ一同診療に取り組んで行きたいと思います。